滞納や未払いで内容証明郵便が届いても慌てないで!法的効力は無いって本当?

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内容証明郵便の法的効力について解説する記事のイメージ画像です

この記事では、内容証明郵便の効力について解説していきます。

借金やローンなどの返済を滞納していると、内容証明郵便で督促が届くことがあります。赤い用紙が使われていることも多く、ものものしい印象で、驚いてしまう人も多いでしょう。

しかし、慌ててしまうのは禁物。冷静に対応することが大切です。そのためにも、内容証明郵便とは何なのか、どんな効力があるのか、確認していきましょう。

執筆者:安田健次郎
ライター/コラムニスト

この記事の執筆者、安田健次郎です。
内容証明郵便は、ものものしい雰囲気もあって、効力が勘違いされてしまうことの多い郵便です。正しく理解して、冷静に対応していきましょう。

安田健次郎

この記事の目的

この記事の目的は、内容証明郵便を受け取った人の目線に立って、内容証明郵便とは何なのか解説することです。

特に、

「内容証明郵便で督促状が届いた」
「滞納や未払いがあり、内容証明郵便で請求が届いた」

といった立場から、解説を行っていきます。

内容証明郵便には、“なにかを強制する力”は無い

まず最初に、一番大切なポイントから解説していきます。
内容証明郵便には、「なにかを強制する力は無い」ということです。

たとえば、「月末までに一括返済しなさい」という内容証明郵便が届いたとしましょう。これでもし一括返済できなかったら、どうなると思いますか?

内容証明郵便で来てるんでしょ?払えなかったら、警察に捕まるとか…?

借金のトラブルは民事なので、警察に捕まることはありませんよ!

あ、わかった!差し押さえですね!強制執行って言うんでしたっけ?内容証明に書いてあることを守らなかったら、強制執行になるんでしょ?

いいえ、それも違います。そもそも内容証明郵便には、誰かに何かを強制するような力はは無いんです。これを、「法的拘束力がない」と言います。

内容証明郵便には、法的拘束力がありません。法的拘束力とは何か…という法学的な話はさておき、ひとまず「誰かに何かを強制する力はない」と考えてください。

企業法務に詳しい近江法律事務所の解説を見てみましょう。

内容証明そのものは、単なる郵便物であり、訴訟や支払督促と違って、それ自体に強力な法的効力が与えられているわけではありません。

出典:内容証明郵便を利用する効果 | 中小企業の法律相談 | 近江法律事務所 (2020/02/21閲覧)

解説されている通り、内容証明郵便そのものは、”単なる郵便物”です。ただの郵便物に、法的拘束力(強制する力)はありません。

強制する力が無いってことは、ようするに無視してもいいってことですか?

うーん…「内容証明郵便が届いたからどうこう」という話のまえに、そもそも、約束している返済ができていない状態なら、無視するのは良くないですよね。

内容証明郵便に書いてあること=真実とは限らない

内容証明郵便には、誰かに何かを強制する効果はありません。法律のような強力な効果は無い=法的拘束力はない、と考えても良いでしょう。

そしてもう一つ、これもよくある勘違いですが、内容証明郵便には、「書いてある内容が真実だと、証明する効力」もありません。

あれ?内容証明郵便って、「内容」を「証明」する「郵便」なんでしょ?だから書いてあることは、証明された事実…ってならないんですか?

いいえ、そうじゃないんですよ。内容証明郵便は、書いてある内容が事実かどうか、証明するものではないんです。

内容証明郵便を取り扱う、日本郵便の公式サイトの解説を見てみましょう。

内容証明とは

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
当社が証明するものは内容文書の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。

出典:内容証明 - 日本郵便 (2020/02/21閲覧)

内容証明郵便は、「文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではない」と、はっきり書かれています。

うーん…なんかちょっと、イメージしにくいけれど…具体的にどういうことなんです?

じゃあ、ちょっと具体的に想像してみましょうか。

たとえば、【私は宇宙人です】と書いた内容証明郵便を送ったとしましょう。たったそれだけで、“私の正体は本当に宇宙人”…ってことになるでしょうか?

ありえませんよ!いくら内容証明郵便に書いてあったって、いくらなんでも宇宙人なんて…。

その通りです!内容証明郵便に書いてあるからといって、私の正体が宇宙人だ…なんてことは、ありませんよね。

「宇宙人」というのは、極端なたとえ話ですが…。これが例えば、「私の借金は時効です」とか、「あなたには100万円の返済義務があります」とかいった内容でも、しくみは同じです。

内容証明郵便は、書いてある内容がウソか本当かを示すものではありません。

だからといって、内容証明郵便でわざわざウソを書くようなことは、まずありませんけれどね。

内容証明郵便の効力は、「何が書いてあったか」を証明すること

内容証明郵便は、誰かに何かを強制する力はありません。
また、書いてある内容が事実だと証明するものでもありません。

それでは一体、内容証明郵便は、何を証明しているのでしょうか?

内容証明郵便が証明できるのは、「何が書いてあったか」です。

先ほどの、【私は宇宙人です】と書いた内容証明郵便で説明しましょう。事実として、私の正体が宇宙人だと、証明されたわけではありません。

まあそうですよね…。

ですが、【私が送った郵便には、「私は宇宙人です」と書いてあった】ということなら、どうでしょうか

それは事実ですよね!実際に宇宙人かどうかは別としても、「手紙に【私は宇宙人です】と書いてあったこと」は事実だと思いますよ。

内容証明郵便が証明するのも、まさにそれです!

この手紙には、「~~」と書いてあった

と証明するのが、内容証明郵便の効力なんです。

内容証明郵便が証明するのは、「その郵便に、何が書いてあったか」ということです。
「書いてある内容が事実かどうか」は、内容証明郵便では証明できません。

内容証明郵便の効力を解説するイメージ画像です。「私は宇宙人です」と書いた内容証明郵便を送っても、郵便局が「この人は宇宙人です」と、書いた内容の正しさを証明するわけではありません。郵便局が内容証明郵便で証明するのは、「この人が送った手紙には、『私は宇宙人です』と書いてあります」ということだけです。

逆に言えば、内容証明郵便で送ったからといって、書いたことが事実になったり、誰かに何かを強制することもできません。

内容証明郵便を使うのはなぜ?どんな効果や効力があるのか

内容証明郵便は、ただ「こう書いてあった」ということ“だけ”を証明する郵便物です。書いてある内容が事実だと証明するわけでもなく、強制力もありません。

この内容証明郵便が、わざわざ使われる理由は何でしょうか?

いろいろな理由がありますが、とくに重要なのは、「言った・言わない」の争いを防ぐためです。

普通の郵便だと、後々になって、

「そんな郵便は受け取っていない、そんなことは書いてなかった」
「いいや、確かにこの内容の郵便を送った」

といった争いになってしまうことがあります。
しかし、内容証明郵便を利用すれば、こうしたトラブルは避けることができます。[1]

内容証明郵便は、書いてある内容のほかにも、「誰が」「誰に対して」「いつ」送ったのかも証明されます。

裁判になったときに、証拠になる

内容証明郵便には、万が一、裁判になった場合に「主張の証拠になる」効果も期待されます。

2.裁判の証拠として利用できる
内容証明郵便を活用する最大のメリットがこれです。実際に裁判となった場合に、証拠となる書面がないと「言った」「言わない」の水かけ論になってしまいます。
また、書面でも例えば普通郵便では、「出した」「出さない」「受け取った」「受け取らない」で水かけ論になってしまいます。
そこで、このような言い逃れを防止するために内容証明郵便(配達証明付き)が役立つのです。

出典:1.裁判に訴える前に~内容証明郵便の活用-はしもと司法書士事務所 (2020/02/21閲覧)

内容証明郵便は、それ自体に法的拘束力はありません。ですが、裁判での争いになった場合には、法廷で通用する証拠能力を持った文書となります。

内容証明郵便で督促が来た場合、相手はもう訴訟の準備を進めていると考えて良いでしょう。
裁判を起こす前提で、証拠固めのために、督促状を内容証明郵便で送ることも考えられるからです。

一方で、内容証明郵便は、「諸刃の剣になりかねない」とも言われています。

内容証明郵便は、こちらにとっての証拠にもなりますが、相手方からこちらを攻撃するための証拠にもなりかねない両刃の剣とも言えます。内容証明郵便に書き忘れた事実があったとすれば、その事実は無かったものと推定されてしまう恐れがあるからです。

出典:内容証明郵便・訴状 竹谷総合法律事務所 (2020/02/21閲覧)

内容証明郵便に書いてあったこと、あるいは「書いていなかったこと」などを逆手に取られて、相手側の主張の証拠にされてしまう場合もあります。

裁判になった場合のことを考えると、内容証明郵便って、かなりデリケートなものなんですね…。

弁護士や司法書士ならともかく、一般の人が自分で内容証明郵便を作って送るのは、かなり慎重になったほうが良さそうですね。

もちろん金融業者や債権回収会社はプロですから、そうした「逆手に取られる」ことがないよう、慎重に書面を作っていますよ。

督促に用いる場合などの心理的効果

内容証明郵便を督促に用いる場合、心理的な効果もあると言われています。

「督促の強い意志を示す」
「債務者にプレッシャーを与える」

といった効果です。

内容証明を送ることで、こちらの強い意思を示し、相手方に心理的プレッシャーをかけることで、売買代金の支払い等こちらの目的を達成させることを狙いとする場合があります。確

出典:内容証明郵便を利用する効果 | 中小企業の法律相談 | 近江法律事務所 (2020/02/21閲覧)

債務者にプレッシャーを与えるなんて…そんなこと、やっていいんですか?

過度に威圧的な取り立て行為は、法律で禁止されていますが…。[2] 内容証明郵便で督促を送ること自体は、一般的な督促の範囲内として、認められているようです。

催告による時効の完成猶予

内容証明郵便による督促は、「時効の完成猶予」を目的として用いられる場合もあります。

借金などの返済には「時効」がありますが、この時効のカウントが、督促を送ることで一時的にストップします。※ただし、督促を送ってから6か月以内に、裁判などを起こす必要があります。[3]

この6か月間の一時停止(時効の完成猶予)を確実に得るために、「いつ、だれが、どんな内容で送ったのか」が証明できる、内容証明郵便を使って督促が行われる場合があります。

こうした借金などの時効(消滅時効)は、法律が改正されることもあり、とても複雑な状況になっています。詳しくは、かならず弁護士や司法書士にお問合せ下さい。

内容証明郵便で督促や催告が届いたら

それでは次に、内容証明郵便で督促や催告が届いたら、どうすれば良いか解説していきます。

内容証明郵便で督促が来た=いつ裁判になってもおかしくない

内容証明郵便で督促が来たら、まずは「いつ裁判になってもおかしくない」と考えたほうが良いでしょう。

内容証明郵便は、裁判で証拠になる文書でもあります。つまり、裁判を起こす準備として、今のうちに「督促をしっかりした」という証拠を固めるために、内容証明郵便が使われている可能性があるからです。

借金やローンなど、債権・債務がらみの裁判では、「債権者がしっかり督促を行っていたか」というのも重要なポイントになります。

だからこそ、「督促を行った証拠」を残すために、内容証明郵便が用いられるんですね。

たんにプレッシャーを与えるため…じゃないんですか?

プレッシャーを与える効果も、ある程度は考えられていると思います。ですが、

「内容証明郵便でプレッシャーを与えて、それでも支払いに応じなかったら、本当に裁判に踏み切ろう」

という判断になっても、おかしくありません。

裁判を防ぐために、今すぐできることは

内容証明郵便で督促が来たら、裁判まであと一歩。ですが、本当に裁判を起こされるのは、できれば避けたいですよね。

しかし、実際に訴訟や支払督促(裁判所を通した督促)を起こされてからでは、取り下げも非常に難しくなりがちです。したがって、そうなる前に、こちらから先手を打って対策をとっていく必要があります。

対応が後手後手に回ってしまうと、何もかもうまく行かない…というのは、ケガや病気、事故、災害対策とも同じですね。

借金やローンが返せないのも、ある意味では非常事態ですから、やはり後手に回るのは良くないんです。

早めに行動したほうが良いってことですね。でもお金もないし、どうすればいいんでしょう?

どんな問題も、その道の専門知識を持った人に相談するのが一番です。
とにかくまずは、借金相談の窓口や、詳しい法律専門家(弁護士や司法書士)に相談しましょう!

借金やローン、クレジットカードなどの返済の悩みは、自治体の生活相談窓口や、国民生活センター、法テラス、各地の財務局、弁護士会や司法書士会などが受け付けています。

また、返済トラブルの解決に詳しい弁護士・司法書士も、無料で相談できる窓口を、24時間365日対応で受け付けています。

借金問題の解決(債務整理・時効援用)に強い弁護士・司法書士も、無料の相談窓口を設置しています。

借金解決に強い弁護士・司法書士の無料相談
利用方法 WEBからメールまたは電話
受付時間 24時間対応あり
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その他 ・匿名相談、無料減額相談あり
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※弁護士事務所・司法書士事務所により異なります。

返済解決に強い弁護士や司法書士は、「債務整理」という手続きを通して、あなたの悩みの解消も可能です。

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内容証明郵便で督促が届いた場合、裁判までもうほとんど時間が残されていない恐れもあります。タイムリミットが迫っている状態なので、早めに相談してみましょう。

すぐに取り立てストップなどができる、スピード対応が得意な弁護士・司法書士もいますよ!

 

脚注、参考資料

 

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安田健次郎

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