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「借金しないと生活できない」
そんな人たちの声を、インターネット等で目にする機会も増えてきたように思います。
一生懸命に働いても、十分な生活資金を得られず、借金やクレジットカードに頼らざるを得ない…。
そうした人々の存在が際立つにつれて、
「日本は貧乏な国になった」
「もう日本は発展途上国レベル」
「日本はオワコン(終わった)」
…といった話も耳にすることもあります。
※「オワコン」とは、「終了したコンテンツ」を指すネットスラングです。現在はコンテンツに限らず、「もう終わった(先がない)」というものに対して幅広く「~~はオワコン」と使われます。
また、そうした意見に対して、「借金しないと生活できないのは自己責任だ」と反論する声も耳にします。
そこで今回は、
「借金しないと生活できないのは、本当に甘えや自己責任なのか」
「日本は本当に“終わった=オワコン”なのか」
といったことを、調査をもとに考察したいと思います。
借金しないと生活できない…本当に甘えや自己責任なのか
まずは、「借金しないと生活できない」という人が、本当に甘えや自己責任なのか、考えていきましょう。
ギャンブル、浪費、だらしない…そんなイメージは“勘違い”
「借金しないと生活できない」
「いつも借金を抱えていて、毎月の返済すると給料が残らず、貯金ができない」
こうした悩みを持った人は、どんな暮らしをしている人でしょうか?
「どうせパチンコやスロットにでもハマってるんでしょ?」
「お金の管理ができない、だらしない人」
「浪費グセがあって、買い物をガマンできないんじゃないの?」
…こんな厳しい声が聞こえてきそうですね。
筆者も以前は、まさにこうした勘違いをしていました。
多重債務のキッカケ、一番は「低収入・収入の減少」
次のグラフをご覧ください。
このグラフは、多重債務に悩んで専門家に相談を行った人に、「借金をしたきっかけ」を聞いたアンケート結果です。
多重債務者対策を巡る現状及び施策の動向(平成30年) 金融庁/消費者庁ほか[1]
結果を見ると、圧倒的に「低収入・収入の減少」が多数となっています。回答件数は合わせて6,031件、そのうち1,956件が当てはまるため、32.4%ほどの比率になります。
一方で、「ギャンブル等」「その他遊興費」を“借金のキッカケ”と答えている人は、ギャンブル等が323件(約5.3%)、その他遊興費が118件(約1.9%)。きわめて少なくなっています。
この結果だけでも、「多重債務者はギャンブルや浪費で借金をしているダラシナイ人…」といったイメージは、まったくの勘違いだとわかります。
借金に困っているけど、相談していない…そんな人はもっと多い
さきほどご紹介したデータは、「専門家に相談を行ったた人」のアンケート回答を、金融庁が取りまとめたものです。
「借金に困っているけれど、誰にも相談できていない」という人の声は、データに含まれていません。
しかし、そうした人はもっともっと多いはずです。
そうした暗数(統計に表れない数字)も含めると、かなりの人数が、「借金しないと生活できない」状態に陥っていると想像できます。
「借金しないと生活できない、こんな日本はおかしい」
いくらそう思っていても、どこかに相談しなければ、その声は誰にも届きません。
「借金返済に困っているあなた」も、「借金をしないと暮らせないあなた」も、相談しなければ、“存在しないもの”として扱われてしまうのです。
これでは、あなたの暮らしも、みんなの社会も、何一つとして改善はしません。
借金の悩みは、確かに相談しにくいものです。
「お金が返せなくて困っているんです」と言うことは、たいへんな勇気が必要です。
しかし、勇気を出して相談することで、“債務整理による返済の減額・免除”など、あなたの暮らしも大きく改善できます。
こうした返済減額・免除の方法と、無料相談窓口について、次の記事で詳しくご紹介していきます。
「生活が苦しい」は自己責任?インターネットで議論炎上
借金地獄や多重債務に陥ってしまう原因のほとんどが、「低年収・収入減」にあると、金融庁の資料から判明しました。
しかし、これだけではまだ「日本オワコン」とは言えません。
「稼げないのは自分のせいじゃないの?」
という見方もあるからです。
勤続10年、月収手取り14万円…「日本終わってますよね?」
先日(2019年9月末頃)、インターネット上でこんなトピックスが話題になりました。[2]
「アラフォーの会社員です。
主は手取り14万円です…
都内のメーカー勤続12年で役職も付いていますが、
この給料です…
何も贅沢出来ない生活
日本終わってますよね?」
https://girlschannel.net/topics/2359507/
都内メーカーに勤続12年、役職もついていながら、手取り給与はたったの14万円…。都内の生活費を考えれば、カードローンやクレジットカードを使い続けなければ、生活できない金額です。
ですがこれに対して、一部の著名人などから、「日本がおわってんじゃなくて『お前』がおわってんだよ」などと厳しい声も浴びせられました。
2ch(現:5ch)、がーるずちゃんねる、Twitter等でも、
「自業自得」
「国のせいにするのは共感しない」
「もっと給料の多いところに転職できるよね?」
…など、自己責任論が吹き荒れる様相です。[3]
ですが、本当に「稼げなくて生活が苦しいのは、自己責任だ」と言えるのでしょうか?
冷静に考える必要があります。
国民の半数「生活が苦しい」-マスコミが報じない驚きの調査結果
「生活が苦しいのは、努力をしていない一部の人だけ」
「みんな普通に暮らしてるんだから、生活が苦しいのは日本のせいじゃなくて、本人のせいでしょ?」
こんな考えを持つ人も、もしかすると多いのかもしれません。しかし、本当に「みんな普通に暮らしている」のでしょうか?
調査したところ、驚きのデータを発見しました。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(平成30年)によると、国民の約半数が、「生活が苦しい」と感じているのです。
国民生活基礎調査 結果の概要 - 厚生労働省 [4]
厚生労働省の調査結果は、少なくとも2013年から一貫して、国民のおよそ半分が「生活が苦しい」となっています。
2018年の調査では、「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせて、57.7%。過半数を超えています。
こうした情報は、筆者の知る限り、マスコミや大手新聞も、ほとんど報道していません。
しかし、過半数を越える国民が「生活が苦しい」と感じる国に、本当に問題はないのでしょうか?
「生活が苦しい」と感じる、二人に一人の日本国民は、その全員が、すべからく自己責任、自業自得なのでしょうか?
日本全体が「オワコン」と化してはいないでしょうか?
ニッポンは本当に「オワコン」なのか
果たして、「終わっている」のは日本なのか、それとも「生活が苦しい人」「借金しないと生活できない人」なのか…。
検証を続けましょう。
下がり続ける日本人の給料
まず、「日本人の給料が下がり続けている」という指摘があります。
厚生労働省の発表している「実質賃金指数の推移」をもとにしたグラフは、ニュースや国会中継などでも、たびたび話題に上がります。
グラフの作成方法や比較対象などにより、細かい部分は変わってきますが、“20年近い長期下落傾向”というトレンドは同じでしょう。
実質賃金指数の推移の国際比較(1997年=100)[6]
上のグラフは、ドイツ、アメリカ、フランス、イギリスなど諸外国との比較となっています。日本の実質賃金の推移は、一番下の赤いラインです。
諸外国では年々、給料が上がっているのに、日本の給与だけが下がり続けているとわかります。
日本人の実質労働生産性は上がっている
「生産性」という言葉も最近、よく耳にしますね。なんとなく、「実質賃金が上がらないのは、日本の生産性が低いからだ」といったイメージを持ってしまいがちです。
ところが実際には、日本の実質労働生産性は、諸外国と同様に上がり続けています。
日本の実質賃金低迷の背景 ㈱日本総合研究所調査部 山田 久 より抜粋[7]
労働生産性とは、「産出(Output=労働の成果)」を、「労働量(Input=投入量)」で割ったものです。かんたんに言えば、「労働者一人あたりが生み出す成果」のことです。
日本の実質労働生産性は、ユーロ圏とほぼ同じペースで上昇しています。
つまり、「日本の労働者は、しっかりと富を生み出しているし、諸外国の労働者と比べて劣っているわけでもない」のです。
それにも関わらず、「日本の実質賃金だけが、国際社会から取り残されて、長期の下落傾向にある」わけです。
労働分配率は43年ぶりの低水準、内部留保は史上最高水準
日本人の実質労働生産性は上昇しています。しかし、日本人の実質賃金は下落しています。
この謎を解くカギは、「労働分配率」にあります。
労働分配率とは、売上総利益に占める人件費の構成比率です。「企業の利益のうち、どのくらいが労働者に還元されているか」と言っても良いでしょう。
ここで、2つのニュースをご紹介します。
財務省が発表した2017年度の法人企業統計では、企業が稼ぎを人件費に回す割合を示す「労働分配率」の下落が続いた。17年度は66.2%でバブル期にも及ばず、43年ぶりの低さ。
出典:労働分配率、43年ぶり低水準 17年度66.2% 人件費抑制鮮明 - SankeiBiz 2018.9.5 05:51 [8]
財務省が9月3日に発表した2017年度の法人企業統計によると、企業(金融・保険業を除く全産業)の「利益剰余金」、いわゆる「内部留保」が446兆4,844億円と前年度比9.9%増え、過去最高となった。増加は6年連続だが、9.9%増という伸び率はこの6年で最も高い。
どちらも、財務省が発表した「2017年度法人企業統計」を元にしたニュースです。
この2つのニュースを合わせると、次のことがわかります。
「企業は過去最高の利益を上げているが、その利益を労働者に還元する割合は、43年ぶりの低水準である」
企業は過去最高に稼ぎ、過去最低レベルに人件費をケチっていると言っていも良いでしょう。
日本人の労働生産性は上昇していますから、過去最高益が出るのも納得です。しかし、その利益を働く人に還元しないので、実質賃金が下落傾向にあるのです。
終わるのは日本ではなく、あなたの暮らし…ただし、“あなたのせい”ではない
まとめに入りましょう。
これまでの調査結果をもとに、筆者の考察をまとめていきます。
まず、本当に「日本はオワコン」なのか、終わった国なのか…という問題です。
筆者の答えは、
「終わるのは日本ではなく、あなたの暮らし…ただし“あなたのせい”ではない」
となります。
日本がオワコンではないのは、あなたの暮らしが犠牲になるから
日本経済全体で見れば、企業部門の伸びが大きいので、「日本はオワコン」とは言えないでしょう。
しかし、その企業部門の伸びは、働く一般国民の暮らしを犠牲にした上で成り立っています。
- 過去最高の利益余剰金に対し、過去最低の労働分配率
- 国民の過半数が、「生活が苦しい」と回答する現実
あなたの暮らしをオワコンにすることで、日本はオワコン化を免れている…そう言っても良いでしょう。
だから、「終わるのは日本ではなく、あなたの暮らし…ただし“あなたのせい”ではない」と言えるのです。
生活が苦しい…国民の過半数が“多重債務予備軍”
多重債務に陥るきっかけの大多数が、「低収入・収入減」であることも、もう一度思い出して下さい。
「生活が苦しい」と答える国民の過半数が、“多重債務者予備軍”とも言えます。あなたも、そして筆者も、いつそうした状況に陥ってもおかしくありません。
普通に働いていても苦しいのですから、まして失業してしまったり、収入が減ってしまったら、どうなるでしょうか?
- 「失業して借金が払えない」
- 「妻が産休に入って、世帯収入が減ってしまった」
…など、自分で気を付けていても、回避できない困難はいくつも予想できます。
“あなたのせいではない”けれど、滞納すれば裁判・差し押さえ
今すでに、「借金しないと生活できない」といった人は、より事態は深刻です。
このまま何もしなければ、家計状況はより悪化していくでしょう。すると、返済滞納、ブラックリスト、そして裁判に訴えられ、差し押さえ(強制執行)を受ける…。そんな現実が、すでに待ち構えています。
「返せないほど借金を抱えてしまったのは、わたしのせいではない。時代のせいだ」
「私だって、借金したくて借りたわけじゃない。そうしないと生活できないから、仕方なく借りたんだ」
…と、いくら心の中で思っていても、何もしなければ、容赦なく差し押さえを受けてしまいます。
借金しないと生活できない…“相談”が解決の第一歩
「借金しないと生活できない、返済が苦しい」
こうした場合は、すみやかに、適切な相談窓口を頼る必要があります。相談をしなければ、どんなに事情や悩みがあっても、“存在しないもの”として扱われてしまいます。
金融庁のアンケート調査でも、窓口に相談に行った人の声しか集計されていません。相談しない人の声は、聞きたくても聞こえないからです。
だからこそ、まずは適切な相談窓口を通して、あなたの事情を聞いてもらうことが大切です。
しっかりと相談すれば、『債務整理』という手続きを通して、“返済を減額・免除できる”可能性もあります。
また、取り立てを最短即日でストップし、裁判や差し押さえを回避することも可能です。
債務整理とは、「事情があって、借りたお金を返せない」といった人を助けるために、法律で定められた手続きです。
この手続きを行なうことで、借金などの返済を減額・免除できる可能性があります。
詳しい解説と、無料相談窓口のご案内を、次の記事でまとめています。
今は大丈夫、わたしは大丈夫…という人へ
「わたしは大丈夫、生活は楽じゃないけれど、借金苦になんてならない」
「カードローンもあるし、クレジットカードのリボ払いも残っているけれど、今までずっと滞納せずに返してこれた。だから、これからも同じように返済できる」
…そんな風に思っている人も、きっと多いはずです。
しかし、本当に「大丈夫」と言えるでしょうか?
何かあった時の不安もあります。
ですがそれ以上に、“何も無くても、あなたの暮らしは苦しくなっていく”ことを、しっかりと想像する必要があります。
給料が下がらなくても、物価が上がれば、暮らしは苦しくなります。
給料が上がっても、それ以上のペースで物価が上がれば、暮らしは苦しくなります。
今後そうなっていった時、あなたの返済はどうなるでしょうか?
今後の返済を考えると、今は問題の生じていない人も、「いざという時、債務整理でどのくらい借金が減らせるか」だけは知っておく必要があります。
こうした返済減額の診断を、無料・匿名・登録不要で行えるサービスを、信頼できる弁護士や司法書士が提供しています。
次の記事を一度お読みいただき、検討だけでも進めてみてください。
脚注、参考資料
- [1]多重債務者対策を巡る現状及び施策の動向 平成30年6月8日 金融庁 / 消費者庁 / 厚生労働省(自殺対策推進室) / 法務省
- [2]12年勤務して手取14万円「日本終わってますよね?」に共感の声 「国から『死ね』と言われているみたい」「日本はもはや発展途上国」 キャリコネニュース 2019.10.6
- [3]『12年勤務して手取14万円「日本終わってますよね?」に共感の声』に共感しない声
- [4]国民生活基礎調査 結果の概要 - 厚生労働省
Ⅱ 各種世帯の所得等の状況 pdf - [6]実質賃金指数の推移の国際比較
oecd.statより全労連が作成(日本のデータは毎月勤労統計調査によるもの)。
注:民間産業の時間当たり賃金(一時金・時間外手当含む)を消費者物価指数でデフレートした。オーストラリアは2013年以降、第2・四半期と第4・四半期のデータの単純平均値。仏と独の2016年データは第1~第3・四半期の単純平均値。英は製造業のデータのみ。 - [7]日本の実質賃金低迷の背景 ㈱日本総合研究所調査部 山田 久
- [8]労働分配率、43年ぶり低水準 17年度66.2% 人件費抑制鮮明 - SankeiBiz 2018.9.5 05:51