時効援用の債務承認をわかりやすく解説!なぜ電話してはダメ?その理由は

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時効の援用の債務承認についてと電話をかけては行けない理由を解説します。

この記事では、時効援用の「債務承認」について、わかりやすく解説していきます。

「借金の返済には時効がある」
「時効を過ぎたあと、“時効援用”を行えば、返済を帳消しにできる」

…こうした時効援用の仕組みのなかから、今回は、「債務承認」というルールについて見ていきます。

何気ない一言で、せっかくの時効が台無しになってしまう…。そんなリスクを含んでいるのが、この「債務承認」。

時効援用を考えている方や、借金の時効に興味がある方は、ぜひお読みください。

執筆者:安田健次郎
ライター/コラムニスト

「債務承認」は、複雑な法制度によるものです。今回はわかりやすさを重視して、イメージがつかめるような解説をお届けしていきます。

安田健次郎

この記事の目的

この記事は、時効援用を考えている方のために、債務承認の仕組みについて、わかりやすくご説明することを目的としています。厳密な解釈を提示するものではないことを、予めご了承ください。

また、債務の消滅時効に関する法律(民法・債権法)は、2020年4月に改正法が施行されています。

最新の法的情報と、ご自身の時効援用に関しては、かならず法律専門家にご相談ください。

債務の消滅時効について、カンタンに解説

本題の「債務承認」の話の前に、カンタンに「時効援用」について解説していきましょう。

時効援用って、借金とかを時効で帳消しにするんですよね?ネットで見ましたよ!

はい。その時効援用です。「もう知っているよ」という方も、ここで一度、おさらいしておきましょう。

借金などの返済は、時効で帳消しにできる
サラ金などの借金だけでなく、カードローンやクレジットカード、債権回収会社や家賃保証会社からの請求などにも時効があります

ただ時間が経つだけでは、時効にならない
定められた期間が過ぎたあと、「債務の消滅時効の援用」(時効援用)を行う必要があります。

返済の時効は、「最終返済から5年」が一般的
ただし、実際にいつ時効になるかは、事情により異なる場合があります。

一口にまとめてしまえば、「返済を時効で帳消し=ゼロにできる」手続きなんですが…。実は、いろいろと複雑な仕組みもあるんです。

そうなんですか?カンタンそうだし、自分でもできるかな…って思ってたんですけど…。

実際には、そうカンタンなものじゃないんですよ。

一見するとシンプルに見える、「時効援用」。
ですが実際には、とても複雑な法律にもとづく仕組みです。

そんな時効援用の仕組みの中から、今回、注目していくのが、「債務承認」というものです。

債務承認について知らないと、何気ない一言で、すべてが台無しになってしまう恐れもあるんですよ!

自分で債権者に電話すると…?せっかくの時効が、債務承認で台無しになる恐れも

それでは、今回のテーマに入っていきましょう。
時効援用のルールのひとつ、「債務承認」についてです。

債務承認って何なんですか?さっきから、「時効が台無しになる」とか…ちょっと不安なんですけど…。

債務承認とは、「返済があることを認める行為」のことです。債務承認をすると、時効援用ができなくなってしまうんですよ。[1]

返済があることを、認める行為…?ちょっとよくわからないです…。

確かに、債務承認はわかりにくい仕組みなんです。イメージを掴むために、具体的に見ていきましょうか。

ひとまず、

債務(借金・返済)があることを認めることを「債務承認」という
「債務承認」すると時効援用ができなくなる[1]

という点を、押さえておきましょう。
それでは一体、債務承認とは何なのか、具体的に説明していきます。

自然な会話のなかに、「債務承認」が!

債務承認には、いろいろな行動があるのですが…。一番気を付けたい「発言」や「会話」について、見ていきましょう。

たとえば、「自分で時効援用をしよう」と考えてみます。

借金の時効は、最後に返した日から5年。
なので、「最後に返した日」がいつなのか、まず確認する必要があります。

その確認のために、債権者(お金を借りた相手)から「取引明細」を取り寄せる必要があります。

…というわけで、借金をした人のつもりになって、「取引明細をください」と債権者に電話する…。こんな想定で、会話をシミュレーションしてみましょう。

 

もしもし?○○といいますが、取引明細を発行してほしいのですが…。

○○様ですね。お電話ありがとうございます。取引明細をご希望とのことですね。

はい。自宅に送ってもらえませんか?

かしこまりました。ところで○○様、現在、ご返済が滞っておりますが…。そのことは、ご承知いただけておりますでしょうか?

あ、はい…。

弊社からたびたび、書類をお送りさせて頂いておりましたが…。今までご連絡いただけなかったのは、どういったご事情か、お伺いしてもよろしいでしょうか?

えっと、その、返せなくて…。

現在もまだご返済は厳しいですか?一部だけでもご返済いただくことはできないでしょうか?

5000円とか、そのぐらいなら何とか。でも、返済はもう時効だと思うんですけど…。

 


 

はい、ここでストップです!中途半端なところですが…。さて、この会話の中で、「債務承認」が、何回あったかわかりますか?

え?今の会話にですか?この中に債務承認…つまり、返済があるって認める発言があったってことですよね?一体どこに…?

少なくとも3回、債務承認とみなされる部分があります。答え合わせをしていきましょうか。

こんな発言も「債務承認」に!時効援用ができなくなってしまう

それでは、先ほどの会話シミュレーションを振り返りながら、「債務承認」にあたる部分を見ていきましょう。

債務承認だとみなされる部分は、3か所ありました。実際には“一度でもアウト”ですから、注意してくださいね。

「滞納がある」と認めた部分

まず一つ目は、この部分です。

かしこまりました。ところで○○様、現在、ご返済が滞っておりますが…。そのことは、ご承知いただけておりますでしょうか?

あ、はい…。

「返済が滞っているのを知っているか?」という質問に、「はい」と答えていますね。これは“債務があること認める発言”…つまり、債務承認になると考えられます。

「返せない」と返答した部分

そして二つ目は、こちら。

えっと、その、返せなくて…。

「返せない」という発言も、「返済がある」と認めているからこその言葉です。つまり、これも“債務承認”になってしまいます。[2]

「5000円だけなら何とか」…これも債務承認に

三つ目は、この部分です。

現在もまだご返済は厳しいですか?一部だけでもご返済いただくことはできないでしょうか?

5000円とか、そのぐらいなら何とか。でも、返済はもう時効だと思うんですけど…。

「一部でも返済できないか?」という質問に、「5000円ぐらいなら」と、答えていますね。一部返済には応じる意思を見せた…ということになります。これもつまり、“返済があると認めた”となり、債務承認になります。[2]

こうした発言のほか、実際に一部だけでも返済をしたら、それも債務承認になります。

一部って、いくらぐらいですか?

1円でもです。たとえば、黙って何も言わなかったとしても、1円でも返済を行えば、その時点で「債務承認」となるんです。

ちょっとした一言が、債務承認になってしまう

…っていうかこれ、さっきの会話シミュレーションの中身、ほとんど債務承認ってことじゃないですか!こんなの、わかんないですよ!!

はい。その通りです。先ほどの会話は、実はほとんど債務承認。どんな言葉でも、文脈次第で、債務承認になる可能性があるんです。

債務承認は、「具体的にこのフレーズを言うとダメ」といったものではありません。

どんな言葉や行動であっても、「返済があると認めた」と解釈されるものなら、すべて債務承認になる可能性があります。

なにか具体的に、「これを言っちゃダメ」みたいなフレーズとか言葉ってないんですか?

そうした具体的なものは、ありません。文脈次第、という部分も大きいので…。だから、債務承認を避けるのは難しいんですよ。

どうすればいい?債務承認を避けて、時効援用を成功させるために

債務承認をしちゃうと、時効援用はできなくなる…。でも、どんな発言が債務承認になるかは、わからない…。こんなのムリじゃないですか!!

というか…そもそも、自分で時効援用をすること自体、ムリがあるんです。

ええー…それじゃ、時効援用なんて、できっこないってこと…?

いえ、そうではありません。自分では無理でも、時効援用に強い法律専門家に頼めば良いんです。

そもそも、債務承認が問題になってしまうのは、自分で債権者に電話をしたり、対応してしまうから…とも言えます。

弁護士や司法書士といった法律専門家に入ってもらえば、債務承認のことを気にする必要は、まったくありません。

時効援用に強い弁護士や司法書士なら、債務承認だけでなく、ほかのリスクもしっかり予防できるでしょう。

債務承認だけではない!「自分で時効援用」は、裁判・差し押さえのリスクも

もう一つ忘れてはいけないのは、「時効援用に失敗すると、裁判や差し押さえのリスクがある」ということです。

自分で時効援用しよう…と考えると、裁判や差し押さえを受けてしまうリスクが、非常に高くなります。

自分ひとりでやろうとすると、債務承認で時効援用ができなくなり、さらに裁判に訴えられ、差し押さえを受けてしまう…そんな事態もあり得ます。

一方で、弁護士や司法書士に入ってもらえば、こうした裁判・差し押さえなどのリスクも、ほとんど無くなると言って良いでしょう。

時効援用の成功のために、時効援用に強い弁護士・司法書士に相談を

自分で行うと、「債務承認」で時効援用ができなくなり、さらに裁判や差し押さえを受けてしまう恐れもある…。
そうした失敗のリスクの大きさを考えると、時効援用は、弁護士や司法書士を通したほうが良いと言えます。

軽い気持ちで自分でやろうとすると、今後の人生に大きく響くような大失敗を招きかねません。それを防ぐためにも、弁護士・司法書士への相談は必須です。

実際に依頼するかどうかは別として、少なくとも、無料相談だけは利用しておきましょう。

無料相談で、「時効援用できるか」を、無料で確認してもらえる弁護士事務所や司法書士事務所もあります。

そうした時効援用に詳しい弁護士・司法書士を、次の記事でまとめています。

最後の返済から何年もたっているなど、「もう時効かもしれない」という返済がある方は、こちらをぜひご覧ください。

 

脚注、参考資料

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安田健次郎

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